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基本指針

効率のみを優先させるのではなく豊かな人間関係を作り出す社会

○わたしのメッセージ その9○

 「何時間、会議をしているんですか。あなたが決断して、みんなに指示すれば済むじゃないですか!」
  時は1995年1月下旬、所は兵庫県西宮市に緊急に開設した現地ボランティアセンター。センターを協同で運営する市民団体と経済団体の連合体「被災地の人々を応援する市民の会」では、翌日以降の活動の進め方について、連夜、スタッフ全員での話し合いを重ねていました。もっとも、現地事務所に泊り込む数人を除いて終電までにはスタッフを帰さねばなりませんから、かなり効率的に会議を進めたのですが、合意重視の運営に業を煮やしたのが経済団体のメンバー。企業の常識では上司が部下に指示すれば動くもの。若い学生も含むボランティアと職員がフラットな立場で話し合いを続ける状態が、歯がゆくて仕方なかったようでした。
  しかし、多くのボランティアを含むスタッフをつなぐのは、地位や権威ではなく、被災した人たちの復興に向けた願いだけ。納得と共感なしには空中分解してしまいます。逆に、個々のスタッフの気づきが自由に交わる関係の中で、新しい活動のアイデアも次々に生まれました。
  誰もが未知の体験であった大震災への対応は、一握りのトップ集団の指導ではなく、多様な経験をもつ人々が主体性を発揮する中で乗り切られたのでした。

早瀬 昇
大阪ボランティア協会理事・事務局長(2004年作成当時)