一人ひとりが役割を持ち対等な関係で働ける社会
○わたしのメッセージ その4○
彼女は全盲というハンディをかかえながら子育てをしているお母さん。私は頭でっかちのボランティアコーディネーター。出会いは彼女からの1本の電話でした。「買い物に行ったり、3歳になる子どもを遊ばせるときに、付き合ってくれる人を紹介して欲しい。おばちゃんは嫌。保育に興味がある若い女性がいい。」
わがままな依頼だと思いました。しかし、彼女曰く、これまで何人かのボランティアと接してきたが、中高年女性は援助者として自分の価値観を押し付けてくるので息苦しい。等身大で付き合ってくれたのは若い女性だった。つまり、彼女は「援助者」ではなく「友だち」の役割をボランティアに求めていたのです。でないと、ボランティアとの対等な関係を築けなかったのです。
「私は視覚障害者の世界を知ってもらい、保育体験ができる場を提供する。ボランティアは私に買い物のときの選択の目を提供してくれ、子どものお姉ちゃんになってくれる。お互いがそれぞれそういう役割を持つことで、友だちになれる。」初めて彼女に会ったときに、彼女が語った言葉。私は「やられた!」と思いました。「ボランティアと依頼者とは対等な関係でなければ」などとお題目のように日々活動希望者に話していましたが、対等な関係が何かなんてホントのところ何もわかっていなかったのです。
妻鹿 ふみ子
京都光華女子大学教授(2004年作成当時)