一人ひとりが自分の力を生かせる社会
○わたしのメッセージ その2○
私は、大学生に対するボランティアのコーディネーションに数多く携わってきました。
ある日のこと、一人の女子学生が、ボランティアセンターを訪ねてきました。「自分の消極的な性格を変えたくて…」というのです。その後、フリースペースで不登校児童と遊ぶ活動に参加することになったのですが、そこでの出来事が彼女を大きく変えました。いや、正しくは「変えなかった」とも言えます。
そのスペースには、ボランティアたちになかなか心を開いてくれない児童がいました。彼女が日々、寄り添うようにその児童に接し続けた結果、彼女に対し、徐々に心を開き始め、やがて他の人たちとも心通わすようになったというのです。彼女の醸し出す緩やかな空気が、児童に安心感を与えたのかもしれません。
児童の変化の瞬間に立ち会えたことで、彼女にも自信と誇りが生まれたようです。「今まで、何でも要領よくテキパキと行動する友人たちに負い目を感じていたけど、スローな自分の性格が役に立つこともあるんですね」。そう語る姿に、出会った頃にはない輝きがありました。
「一人ひとりが自分の力を生かせる社会」。それは「一人ひとりが、限られた自分の能力を最大限に生かして、生きることの喜びを実感できる社会」とも言えるのではないかと思います
赤澤 清孝
ユースビジョン代表