結果のみでなく決めるプロセスを大切にする社会
○わたしのメッセージ その8○
阪神・淡路大震災をきっかけにボランティアをしたい!と考える人が増え、市民のココロに潜んでいた自発的な思いの底力が全国各地で芽吹きました。その思いを支えようと、ボランティアをしたい人、求めている人に対し、相互をつないでいくための支援も多彩になりました。インターネットを通じたボランティアのマッチングもその中のひとつ。「すぐに見つかる」を謳い文句に、どんな時間、場所でも検索できる利便性や効率性を求め、一見、スピーディーで便利になったかのようにみえます。でも、果たして現実はそうでしょうか。
システムを導入した側は、そのマッチング件数を増やすことが地域におけるボランティア活動活性化の「成果」とカン違いし、不本意ながらコーディネーターがその件数を競う「マッチングレース」に巻き込まれた、という話も聞きます。そして、機械的に人々をつなぐことは、人を「モノ」扱いにし、人と人とのいい関係性づくりを放棄することにつながりはしないかという危惧を持ちます。
私たちコーディネーターは、手間暇かけて個々に潜む思いを受け止め、つないでいく中から良い関係性を生み出すのが役割です。どんなにスピードを求められても時間をかけて、決まっていくというプロセスそのものを支え、市民の底力を引き出し、自発性を誘発していくこと。私たちは端折らず丁寧に、結果のみではなく、そのプロセスから生み出される新たな価値や人々からにじみ出る思いにもっともっと心を砕いていきたいものです。
加留部 貴行
西部ガス(株) (九州大学出向中)(2004年作成当時)