災害ボランティアコーディネーションにたずさわる皆さまへ
お知らせ 2018/02/24
頻発する自然災害に際し、その救援活動にあたっておられるすべての方々へ心より敬意を表します。
被災地では、多くのボランティア希望者が生まれています。日本ボランティアコーディネーター協会(JVCA)では、それら「参加の力」を最大のものにするために、被災地はもとより遠く離れた場所でボランティアコーディネーションにたずさわる皆さまに向けてのメッセージを発信します。
(1)ボランティアの「自発性」「共感力」を高めましょう
ボランティア活動は被災された方々に寄り添い、その復興につながるよう展開されなければなりません。そのためには被災された方々のボランティアに対する自発性と共感力を高め、その力を発揮できるサポートが必要です。多様なニーズに対応するためには、コーディネーターが活動を一方的に割り振るのではなく、ボランティア自身がたくさんの活動の中から自分を活かせるものを選べるように工夫しましょう。
さらに、災害ボランティアセンターの運営に加わってもらうといった参加の機会をつくることも必要です。被災された方々が避難所運営に参加することへのサポートも、ボランティアコーディネーションのひとつです。
(2)被災された方々の「受援力」を高め、個々のニーズを受け止めましょう
被災された方々が「受援力(支援を受け入れる力)」を高めるようサポートし、多様なニーズを「見える化」することが大切です。
「ニーズが出ないからニーズがない」と考えるのではなく、受援力が高まるように働きかける努力も必要です。災害の形態によって被災された方々が個々に抱えるニーズが異なるため、それらを個別に受け止め、専門家と連携しながらつないでいくことも大切になってきます。
(3)被災地に負荷をかけない支援を心がけましょう
ボランティア活動の結果、被災地に多くの負荷をかけることが問題視されています。
準備が不十分なまま赴き、被災した住民同士の助け合いや公的なサポートのさまたげになってはいけません。また、ボランティアといえども、不特定多数の人間が被災地に入れば、交通渋滞を招いたり宿泊場所が満員となったりもします。多くのボランティアからの電話での問い合わせが災害ボランティアセンターの運営にとって負担になることも指摘されています。また、自らの経験やノウハウを主張し過ぎて災害ボランティアセンターの円滑な運営を阻むボランティアも出てきがちです。
これらを踏まえ、被災された方々に寄り添うコーディネーションを心がけましょう。
(4)ボランティアの安全確保への配慮をしましょう
災害被災地では、さまざまな二次災害が懸念され、ボランティアの安全や健康に十分な配慮が求められます。
コーディネーターはボランティアの安全が確保できない場所にはむやみに立ち入らないよう説明をする必要があります。
また、災害の種類を問わず、必要とされる持ち物や服装の情報を前もって発信するとともに、活動中は適度な休憩をとるよう配慮しましょう。
さらに、「ボランティア活動保険」に関する情報も広く伝えましょう。
(5)間接的な支援〜情報発信やそれぞれの地元でできる後方支援を考えましょう
間接的に被災地の現状(ニーズ)に寄り添うことのできるコーディネーションも必要です。ボランティアをしたい人が増えるにつれて、的確な情報収集と情報提供が求められます。現地の情報を自分たちの地域の媒体やSNSなどを通じて積極的に周知することが間接的な現地の支援につながります。災害ボランティアセンターでこのような提案を行うこともコーディネーターの重要な役割となります。
また、直接被災地に入らない支援、たとえば一時的に近隣に避難してきた方々に対する支援や募金活動、被災地の物産を購入するなど、ボランティアをしたい人が地元でできる「後方支援」の重要性も伝えていきましょう。
最後に、ボランティアは誰かに「派遣」されて行うものではありません。とりわけ情報がない災害時には、上から命じる「派遣」は指示待ち状態となり、共感が生まれません。特に災害現場では、ボランティア活動の多様性や機動性という長所を活かすコーディネーションが求められます。
このように、災害は、それぞれに個別性があり、過去の経験をそのまま応用することが難しい場合が数多くありますが、ボランティアコーディネーションの進め方に迷う場面や、困難な場面があれば、JVCAの仲間を頼って、ご相談ください。とともに悩み、ともに考え合いましょう。
2018年3月1日
認定特定非営利活動法人 日本ボランティアコーディネーター協会
⇒上記の内容をまとめたものをダウンロードしたい場合はこちらへ⇒災害ボランティアコーディネーションPDF版(528KB)
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